2021/08/09
お子さんの矯正治療 part Ⅱ
初診相談で来院され診察後、主訴(患者さんや親の訴え)と症状の確認後、治療開始時期を見極めます。
◎直ちに治療開始の必要が無い場合は、経過観察をさせて頂きます。
◎治療の必要性が有る場合は精密検査後、診断・治療プランの説明後に治療が開始されます。
〇治療開始前
永久歯の生え替わりスペースが不足しています。そして上下の前歯の中心(正中)がズレています。
精密検査の結果、顎の関節に問題が有ることが解りました。
関節円板と呼ばれる顎の関節内にある軟骨のお皿がズレていることが解りました。
顎の関節は、お口を開いたりかみ合わせたりする際の下顎の蝶番です。(ドアの蝶番と似たような働きをします。)咬み合わせに大きく関係します。顎関節と咬み合わせ / 顎関節1st矯正治療
〇一期治療の経過中
顎の関節の負荷を軽減し顎の位置が安定したことで咬み合わせの問題点が明確になりました。
問題点は、
①前歯の中心(正中)がズレています。
②奥歯のかみ合わせに左右差が認められます。
③上下の前歯に前後的な差(オバージェット)が認められる。
④永久歯の生え替わるスペースが不足し定ます。
〇一期治療後
治療の優先順位を決め一期治療で解決出来る事を進めた結果、
問題点
①前歯の中心(正中)がズレています。
②奥歯のかみ合わせに左右差が認められます。
③上下の前歯に前後的な差(オバージェット)
が改善しました。
今後の生え替わりのタイミイグや歯根の成長度合い、骨格の成長を見きわめて二期治療開始時期を見極め,二期治療で は問題点④の永久歯の生え替わるスペースが不足し定ます。を解決しています。
〇二期治療後
二期治療のマルチブラケット治療が終了し永久歯の歯列・咬み合わせは良好な結果になりました。
二期治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
〇年齢:10歳 男性
〇治療方法:一期治療 床装置・TPA 術前矯正:12ヶ月
〇治療方法:二期治療 マルチブラケット装置、便宜抜歯抜歯:上下顎左右第一小臼歯
〇治療期間:二期治療:マルチブラケット治療 術前矯正:24ヶ月
〇費用:一期矯正施術料 ¥30,000 +処置料¥5,000×12回
二期矯正施術料 ¥45,000 +処置料¥5,000×24回
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
一期治療の場合(生え替わりの時期):年齢的に装置の使用法、管理により予定外の偶発症が考えられます。本人に対しての練習やお母様への指導により回避できます。また、装置の粘膜への接触が原因の口内炎の発症リスクが考えられます。保護用品の使用に回避できます。
2021/08/08
今年も夏休みはコロナ感染拡大で、Stay Homeですね!
お時間のある方はご覧頂けると幸いです。
”お子さんの矯正治療”
顎を拡げる治療については前回の記事で記載しましたが、
実際の治療例で説明したいと思います。
拡大治療は、歯列を拡げる歯槽性の拡大と顎の骨を拡げる骨格の拡大に大別されます。
歯列の拡大は床装置など拡大床を用いる事が多いようです。ネジを回し床を拡げることで歯は側方に傾斜し、結果歯列の幅が広くなります。
一方、顎の骨の拡大は上顎の正中口蓋縫合と呼ばれる骨の繋ぎ目を急速拡大装置を用いて開き上顎の骨自体の幅を拡げる治療です。
◎治療前
症状は、前歯の反対咬合(受け口)そして、上顎の幅が狭く右側の奥歯が反対の咬み合わせになっています。(正常な奥歯のかみ合わせは、上の方が幅が広くしたの下の奥歯を内側で受け止めます。)
◎治療中
上顎は急速拡大装置にて側方拡大し奥歯のかみ合わせは改善しました。(大人の場合は、外科的な治療併用が必要です。Surgically assisted rapid palatal expansion (SARPE))
前歯の反対咬合は、上顎前方牽引装置の併用で改善しました。
(上顎前方牽引装置はチャーリーとチョコレート工場という映画で、主人公が子供の頃矯正治療で使用している装置です。昔の装置ですが、現在はもう少し見た目がよいですが!)
◎一期治療は終了し、今後二期治療開始のため検査に訪れたときの口腔内中写真です。
早期に治療を開始出来たので、今後永久歯の二期治療は歯の移動が少なく治療負担が少なくなると思います。今後の二期治療(マルトイブラケット治療)で、仕上げをする予定です。
〇年齢:7歳 女性
〇治療方法:一期治療 床装置・急速拡大装置・上顎前方牽引装置
〇費用:矯正施術料¥30,000 +処置料¥5,000×15回
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
一期治療の場合(生え替わりの時期):年齢的に装置の使用法、管理により予定外の偶発症が考えられます。本人に対しての練習やお母様への指導により回避できます。また、装置の粘膜への接触が原因の口内炎の発症リスクが考えられます。保護用品の使用に回避できます。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
次回は、お子さんの矯正治療partⅡを予定しています。
2021/08/08
本日より夏季休暇を頂いております。ご不便をおかけいたしますが、ご理解ご協力を頂けると幸いです。
今日は、顎を拡げる治療について
以前より初診相談の問診でよく聞かれるのが、以前に”顎を拡げる治療”をしたのですが・・・・・と再治療を希望されて来院する方が多く来院されます。
主に拡大床と呼ばれる矯正装置によりお子さんの歯列を拡げ、永久歯の生えるスペースを確保(デコボコや前歯の出っ張りを治療する)する目的で使用されているケースが多いようです。
確かに私たち矯正専門医も治療方針の中で拡大が適応になる症例が有ることも確かです。
適応症と方法をしっかりと診断することが重要です。治療後の結果や予後に関わるからです。
以下にこの様な記事が、公益社団法人 日本矯正歯科医会のHPに掲載されていました。
2021/04/30
今年もG.Wもコロナ渦で、Stay Homeでお時間のある方はご覧頂けると幸いです。
”咬み合わせが悪いんです” と相談に来られた患者さんの治療例です。
◎治療前
ご本人は、かみ合わせる位置が不安定で落ち着かないとのことです。顎もカクカクなり一般歯科の先生にマウスピースを製作して頂いたとのことでした。
お口の中を診ると歯並びはきれいに見えますが、お口を開くと右上の歯が裏側に生えています。
咬み合わせは、上の歯列で下の歯を上手く受け止められないようです。
横顔のレントゲンを診ても上下の歯は緊密に合合わさっていない状態が確認出来ます。
検査を進めると、顎の関節にも問題が見つかりました。関節の軟骨のお皿がズレた状態で(復位を伴う顎関節円板前方転位の診断)顎位にもズレが見つかりました。顎関節と咬み合わせ
治療計画は、顎の位置の安定を図り顎関節の負荷の軽減を目的にスプリント治療から開始する治療プランで開始しました。
歯を動かす治療に入る前に、診断の一つのステップとして咬合の状態、下顎の位置、顎関節の状態をチェックするためスプリント療法を行なうことがあります。程度の差はありますが、ほとんどの患者は顎関節をずらして上下の歯を咬み合わせています。この顎関節の状態を出来るだけ良い状態(安定)にした時、下顎はどれ程ずれているのか、スプリント療法によって理解できます。矯正治療は咬合を変化させる治療です。円板がずれていたり顎関節に問題があるとき、歯を動かす前にスプリントにより咬合の変化を与えてみて反応をみる役目もあります。
◎スプリント治療後
スプリント治療により顎の関節が安定した状態で本来の咬み合わせの状況が明らかになりました。
治療前と上下の歯の接触は変化しています。”悪化した” と思われるかもしれませんが、下顎の位置がズレた状況で歯の移動を始めた場合、このズレは発見されず残って治療が終了することになりるか、或いは治療途中で咬み合わせが変化し治療が上手くいかない原因の一つになりかねません。 ”顎位は大切ですね”
レントゲンでも咬み合わせの変化が確認出来ます。
これで歯の移動すべき量と方向が、はっきりと確認出来ます。
予知性の高い知治療計画が立てられますので、治療後の経過はより良くなることが期待できます。
◎治療後
マルチブラケット治療により、きれいな歯列と適切な咬み合わせが得られました。
レントゲンでも上下の咬み合わせは緊密な状態が確認出来ます。
顔貌の状況も良好です。
〇主訴:#1右上の歯が重なっている
#2咬み合わせが悪い
〇年齢: 19歳 男性
〇叢生
〇治療方法:装置:マルチブラケット装置、便宜抜歯抜歯:上顎左右第二小臼歯 矯正用アンカースクリュー
〇治療期間:スプリント治療7ヶ月、マルチブラケット治療 術前矯正:20ヶ月
〇費用:施術料:¥750,000 処置料:¥5,000 アンカースクリュー:¥20,00
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
2021/03/05
最近、数名の初診の患者さんから質問を受けた内容です。
Q:矯正治療で歯並びは良くなると思いますが、治療後は顔が長くなりますよね?
ネットで治療前後の写真を見ると顔が長くなっているのを見たことがあるし、
『友達も矯正すると顔が長くなるよ!』と言っていました。
との質問で、ご心配されていました。
A:矯正治療でお顔の長さ(顔面高)に影響があるのは、鼻の下から顎の先端まで
(下眼面高 SmーMe)が影響を受ける部位です。
矯正治療の歯牙移動に伴う現象として、歯の挺出とい事があります。これは臼歯部に起きた場合の結果として、下顔面高の増加に繋がります。
この挺出という現象を如何に少なくする事、
或いは圧下という逆方向へのコントロールが出来れば下顔面高の減少へと繋がります。
”Vertical control” と言われる歯の移動がキーポイントになります。
(下顎のオートローテーションと言う作用でオトガイの前後的内位置にも影響があります)
(例)
⇨
治療前 治療後
専門用語ですが、このVertical controlが顔貌に及ぼす影響のキーポイントとなります。
勿論、お顔は皆さん個性と特徴、個人差が有りますので、その患者さんの状態なわせて治療の方針が必要です。
前歯の前後的及び垂直的位置、前歯の傾斜度、上下のアゴの位置はとても重要なポイントです。
治療上の一般的なリスクとしては、歯根吸収、歯髄壊死、カリエスの発生、歯肉退縮、顎関節症、歯周病の悪化があります。