2020/05/06
顔の曲がり、歪み(顔面非対称)顎のズレ・曲がり、咬み合わせがズレてる・・・患者さんの訴えは様々な表現の仕方で多くのケースを経験します。
矯正治療の中でも非対称症例は、”成長期か否か”、”非対称の原因は?”症例の見極めが非常に重要で、矯正医にとって診断力と技術力の見せどころです。
矯正治療では、下顎後退症や開咬、非対称など骨格性の要因が大きい症例の治療は難易度が高い症例と言えます。
治療開始時期については、
1, 顎の成長が期待できる年齢か?
2, 成長がない成人か?
非対称の原因については、
Ⅰ-上下歯牙の接触状態が原因し顎位にズレることが主な原因
Ⅱ-顎関節症により開口時、閉口時、顎が左右どちらかに曲がり歪む、顎関節が主な原因
Ⅲ-顎の骨の左右差、非対称があり左右の大きさ、長さが違う骨格が主な原因
Ⅳ-Ⅰ,Ⅱ,Ⅲが併発している症例などが、考えられます。
子供の早期治療症例で顎の成長が期待できる年齢で、主な原因が上下の歯の接触状態が原因し顎位がズレることが主な原因な症例です。
放置しておくと、骨格の成長により更に悪化することが予測されます。早期治療が望ましい症例です。
お子さまの一期治療例(生え替わりと成長がある時期に行う治療)です。(永久歯交換後に二期治療を行います)
◎ ”乳歯列の非対称症例” PhaseⅠ治療
初診時顔面写真
初診時口腔内写真:右側の咬み合わせが反対咬合を示し下顎は右側に偏位し非対称を認めます。
”今後の成長による顎骨の大きさ形態が治療の成果を左右する大切な時期です”
早期に問題点を軽減することが重要な治療段階です。
途中経過:非対称が改善し下顎の偏位が改善しました。今後永久歯への交換を管理していきます。
一期治療終了の顔面写真
一期治療終了時の口腔内写真
6歳臼歯、上下の前歯が永久歯に交換しました。側方歯の交換までは数ヶ月に一度定期健診していきます。(咬み合わせが安定し、生え替わりや成長の変化を定期的にチェックしていきます)
主訴:一般歯科で咬み合わせが悪いと指摘されて心配、顎が曲がっている(母より)
〇年齢:6歳 男性
〇治療方法:装置 床装置
〇費用:矯正施術料¥30,000 +処置料¥5,000×15回
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
一期治療の場合(生え替わりの時期):年齢的に装置の使用法、管理により予定外の偶発症が考えられます。本人に対しての練習やお母様への指導により回避できます。また、装置の粘膜への接触が原因の口内炎の発症リスクが考えられます。保護用品の使用に回避できます。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
◎”骨格性の要因が軽度な非対称症例”
骨格性の要因は認められるものの、非外科にて矯正治療のみで治療が可能な症例
顔貌の僅かな非対称は骨格に対する治療、すなわち外科的な治療を行わずに咬み合わせの非対称を歯牙移動のみで改善することで良好な結果が得られます。
非対称の原因はⅣのⅠ-上下歯牙の接触状態が原因し顎位にズレを認める、Ⅱ-顎関節症により左の顎関節に大きな問題があり顎のゆがみを認める
Ⅲ-顎の骨の左右差、非対称があり左右の大きさ、長さが違い骨格性の原因を認めⅠ,Ⅱ,Ⅲが併発している症例です。
初診時の顔面写レントゲン非対称が認められます。
治療後の顔面写真とレントゲン
骨格性の要因は認められるものの、非外科にて矯正治療のみで治療が可能な症例
顎骨の非対称は治療前同様に認められますが、顔貌への影響は少なく本人も気になっていません。
治療前の口腔内写真
治療後の口腔内写真
咬み合わせの非対称を歯牙移動のみで改善することで良好な結果が得られます。
治療後の口腔内の咬み合わせですが、良好な状態を示したいます。
咬み合わせの非対称は改善し、顔貌の非対処は患者さんご本人も気にならないとのことで、骨格に対するアプローチはせず、歯の移動のみで治療しました。
結果は、良好に経過しています。(外科的矯正を回避することができました。)
顔貌の非対称もほとんど目立たないレベルです。
〇主訴:出っ歯
〇年齢:16歳 女性
〇顎関節症:右側:復位性関節円板前方転位
左側:非復位性関節円板前方転位(変形性顎関節症)
〇治療方法:装置スタビライゼーション型スプリントマルチブラケット装置、便宜抜歯:上顎左右第一小臼歯、上顎右側第二大臼歯 TAD(インプラントアンカー)
〇治療期間:スプリント治療10ヶ月、マルチブラケット治療24ヶ月
〇費用:矯正施術料¥750,000 +処置料¥5,000×24回
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
◎”骨格性の要因を改善する必要がある非対称症例”
積極的に骨格に対するアプローチが必要な骨格性の非対称症例です。
非対称の原因はⅣ
Ⅰ-上下歯牙の接触状態が原因し顎位にズレを認める、Ⅱ-顎関節症により左の顎関節に大きな問題があり顎のゆがみを認める
Ⅲ-顎の骨の左右差、非対称があり左右の大きさ、長さが違い骨格性の原因を認めⅠ,Ⅱ,Ⅲが併発している症例です。
外科矯正治療となった対象となった症例です。
治療前の顔面写レントゲン非対称が認められます。
治療後の顔面写真とレントゲン
治療前の口腔内写真
治療後の口腔内写真
〇主訴:出っ歯
〇年齢: 17歳 男性
〇顎関節症:右側:非復位性関節円板前方転位 変形性顎関節症
左側:復位性関節円板前方転位
〇顎変形症、顔面非対称
〇治療方法:装置:スタビライゼーション型スプリント、マルチブラケット装置、便宜抜歯抜歯:上顎左右第一小臼歯 外科手術上下顎同時移動術
〇治療期間:スタビライゼーションスプリント:6ヶ月、マルチブラケット治療 術前矯正:22ヶ月 術後矯正:6ヶ月
〇費用:健康保険適用
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
◎”骨格性の要因を改善する必要がある非対称症例”−2
治療前の顔貌 上顎は左上がりの傾斜を示し、下顎は左方に偏位し顔貌の歪みを認めます。
治療前の口腔内写真では、デコボもと下の歯列の左方への偏位と咬み合わせの不調和を認めます。
治療後の顔貌、上顎の傾斜、下顎の歪みは改善されました。
治療後の口腔内写真:真見合わせも良好です。
〇主訴:顎のゆがみ、歯のデコボコ
〇年齢: 25歳 女性
〇顎関節症:右側:復位性関節円板前方転位 左側:非復位性関節円板前方転位 変形性顎関節症
顎変形症:下顎左方偏位、顔面非対称
〇治療方法:装置:スタビライゼーション型スプリント、マルチブラケット装置、外科手術上下顎同時移動術・オトガイ形成術
〇治療期間:スタビライゼーションスプリント:4ヶ月
〇マルチブラケット治療 術前矯正:21ヶ月 術後矯正:7ヶ月
〇費用:健康保険適用
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
《治療に対するリスク・副作用》
永久歯列・成人矯正の場合`;マルチブラケット治療中の口腔衛生管理状況により歯肉炎、虫歯のリスクがありますが、適切なブラッシング指導と実践により回避できます。また、装置の粘膜への接触が原因の口内炎の発症リスクが考えられます。保護用品の使用に回避できます。便宜抜歯に対するリスク:局所麻酔薬に対するアレルギー及びショック、抜歯時の歯根破折、歯槽骨骨折など、術前の問診と、X線、診査でこれらのリスクは回避できます。歯根吸収については治療計画、装置の作用方法により回避できますが、偶発症として生じるケースも考えられます。歯肉退縮については術前診査である程度予測可能ですが、治療中のブラッシングや口腔衛生状態により左右されることもあります。顎関節症併症例では、術後の進行性下顎頭吸収(Progressive Condylar Resorption: PCR)のリスクが考えられますが、TMJの術前の診査、処置によりリスクを軽減すると考えられます。外科矯正治療の場合:全身麻酔対する偶発症、手術による知覚麻痺等の偶発症や、術後の合併症など考えられますが、手術前の検査、診察により矯正医と口腔外科医の適切な医療連携により綿密な手術計画を立てることで多くのリスクは回避できます。