2024/05/15
”叢生”(歯の配列が乱れてデコボコした歯列)
I級叢生ケースと言われる状態は、矯正医にとって一般的に治療の難易度はそれ程高くない状況と判断されることが多い病状です。(日本では多い症例ですね)
しかし、されどI級叢生、(上下の骨格に前後的なズレを認めず、歯列の配列が乱れているケースです。)
口腔内、平行模型、セファログラムと言われる一般的な矯正学的な検査のみでは、把握する事が難し状況が併発しているケースもよく遭遇します。
適切な検査診断が重要ですね。
〇主訴:#1叢生 デコボコ #2咬み合わせが悪い と訴えの患者さんのケースです。
治療前の口腔内
治療前の顔貌写真:歯列のデコボコと歯列の中心が右にズレて八重歯も認められます。
治療前の顔貌は前突は認めませんが、口角の上がり方,下顎の左右差を認めます。
レントゲンからは、上下の顎に骨格は前後的な差は認めませんが、下顎の軽度な非対称(左右差)を認めます。
軽度な下顎の非対称を認めます。
左右の顎関節検査から関節円板と呼ばれる軟骨のお皿が正常な位置からずれた状態が認められます。
関節円板の前外方転位という診断です。
◎治療方針は、
顎の非対称と顎関節の問題を認め、咬み合わせの検査からも下顎の位置にズレを認めています。そして関節円板円板の前外方転位と言う状態の顎関節症を認める事から、直ぐに歯の移動をして歯列を動かすことは危険と判断されます。(仮に歯を移動した場合、歯列のデコボコは改善されますが、咬み合わせは改善が得られず、顎関節の状況にも病状が悪化することも考えらられます。
治療方法は、下顎はドアのように蝶番(顎関節)を支点に開閉運動する特徴を持っています。
以下の確認が重要です
①今後の顎関節の病状変化を診る必要があります。
②今矯正治療により歯の移動を行った場合顎間関節は蠏あわせの変化を許容できるか確認が必要です。
③ズレた下顎の位置の安定を図れるか?
④本来の顎位(下顎の位置を確認することで適切な咬み合わせを得る為の歯の移動距離、方法が明らかにすることで、より予知性のある治療が可能となり安全を確保できる
スタビライゼーション方スプリントと言われる装置を用いて治療を開始します。
スプリント後の口腔内では咬み合わせが浅くなり本来の下顎の位置が確認出来、顎の関節の安定が得られた状態です。
スプリント治療後阿吾の意図が安定し本来の顔貌の特徴が確認出来るようになりました。
顎関節の状況は右側は顎関節円板の転位の初期でしたので復位(健全な異常のない状況に回復)しました。
慢性化した状況では得られない結果です。
口腔内では、良好な歯列、咬み合わせが得られました。
顔貌も両粉状況が得られています。
上から術前、スリンと治療後、マルチブラケット治療後の比較でも
スプリント治療後に得られた関節円板の復位は維持され良好な状態です。
〇主訴:#1叢生 デコボコ
#2咬み合わせが悪い
〇年齢: 30歳 女性
〇診断:非対称、叢生、両側顎関節症
〇治療方法:装置:マルチブラケット装置、便宜抜歯抜歯:上顎左右第二小臼歯 矯正用アンカースクリュー
〇治療期間:スプリント治療34Week 、マルチブラケット治療 術前矯正:28ヶ月
〇費用:施術料:¥750,000 処置料:¥5,000 アンカースクリュー:¥20,00
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。