2021/08/08
今年も夏休みはコロナ感染拡大で、Stay Homeですね!
お時間のある方はご覧頂けると幸いです。
”お子さんの矯正治療”
顎を拡げる治療については前回の記事で記載しましたが、
実際の治療例で説明したいと思います。
拡大治療は、歯列を拡げる歯槽性の拡大と顎の骨を拡げる骨格の拡大に大別されます。
歯列の拡大は床装置など拡大床を用いる事が多いようです。ネジを回し床を拡げることで歯は側方に傾斜し、結果歯列の幅が広くなります。
一方、顎の骨の拡大は上顎の正中口蓋縫合と呼ばれる骨の繋ぎ目を急速拡大装置を用いて開き上顎の骨自体の幅を拡げる治療です。
◎治療前
症状は、前歯の反対咬合(受け口)そして、上顎の幅が狭く右側の奥歯が反対の咬み合わせになっています。(正常な奥歯のかみ合わせは、上の方が幅が広くしたの下の奥歯を内側で受け止めます。)
◎治療中
上顎は急速拡大装置にて側方拡大し奥歯のかみ合わせは改善しました。(大人の場合は、外科的な治療併用が必要です。Surgically assisted rapid palatal expansion (SARPE))
前歯の反対咬合は、上顎前方牽引装置の併用で改善しました。
(上顎前方牽引装置はチャーリーとチョコレート工場という映画で、主人公が子供の頃矯正治療で使用している装置です。昔の装置ですが、現在はもう少し見た目がよいですが!)
◎一期治療は終了し、今後二期治療開始のため検査に訪れたときの口腔内中写真です。
早期に治療を開始出来たので、今後永久歯の二期治療は歯の移動が少なく治療負担が少なくなると思います。今後の二期治療(マルトイブラケット治療)で、仕上げをする予定です。
〇年齢:7歳 女性
〇治療方法:一期治療 床装置・急速拡大装置・上顎前方牽引装置
〇費用:矯正施術料¥30,000 +処置料¥5,000×15回
〇矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
一期治療の場合(生え替わりの時期):年齢的に装置の使用法、管理により予定外の偶発症が考えられます。本人に対しての練習やお母様への指導により回避できます。また、装置の粘膜への接触が原因の口内炎の発症リスクが考えられます。保護用品の使用に回避できます。
治療後は副作用も無く、審美性、機能、健康維持され経過良好です。
次回は、お子さんの矯正治療partⅡを予定しています。