2020/06/18
下顎の位置(顎位)?
口の中の歯並びと顎関節とはダイレクトな関係にあります。図で解るように、下顎の一方に歯があり、他方の末端が下顎頭であり左右の顎関節につながっています。この顎関節と歯の咬合(咬み合わせ)の調和を計るのが矯正治療の重要な役目の1つです。顎関節において、関節窩(関節の頭部の骨のくぼみ)より下顎頭をずらすことなく口腔内で上と下の歯が咬み合っていることが機能的にも重要であり、この調和がないと歯そのもの、歯を支える歯周組織(歯茎、歯を支える骨の歯槽骨、歯のまわりの靭帯など)、顎関節、筋への負担 などへ悪影響を及ぼし、矯正治療後の安定度にも影響します。
また顎関節に問題があると、多くの場合雑音、例えばクリック音・クレピタス音を発したり、開口しにくくなったり、顎を動かすと関節に痛みがでてくる場合もあります。しばしば経験するのですが、関節自体の痛みではなく、筋緊張性の頭痛を伴うことがあります。
良い咬合とは?
当クリニックでは、顎関節の安定を最初に考え、その土台のもとに口腔内で上下の歯を配列します。
悪い咬合とは?
口の中ではこの顎関節におけるずれはわかりません。そのため私たちのグループでは本来の咬合を確認するため、咬合器、CPIという顎関節レベルでのずれを計測する機器を用いて咬合の診査を行ない、さらに後で詳しく述べますが、必要があればスプリント療法で隠れているずれ(問題)を見つけます。
◎スプリント療法
歯を動かす治療に入る前に、診断の一つのステップとして咬合の状態、下顎の位置、顎関節の状態をチェックするためスプリント療法を行なうことがあります。程度の差はありますが、ほとんどの患者は顎関節をずらして上下の歯を咬み合わせています。この顎関節の状態を出来るだけ良い状態(安定)にした時、下顎はどれ程ずれているのか、スプリント療法によって理解できます。矯正治療は咬合を変化させる治療です。円板がずれていたり顎関節に問題があるとき、歯を動かす前にスプリントにより咬合の変化を与えてみて反応をみる役目もあります。
小児でもすでに顎関節のずれが大きく、また骨の吸収変化が起きている場合もあります。関節円板のずれも矯正前の患者では非常に多く見られます。この場合、すぐに矯正治療で歯を動かすことは顎関節の状態を悪化させる可能性があります。まずは咬合を変化させても大丈夫か確認する必要があるわけです。スタビライゼーションスプリント(以下スプリント)は40年程前よりアメリカ、カリフォルニアを中心に用いられてきたもので、下顎と咬み合う面に機能面が咬合器を用いて作製され、この機能面が患者の下顎との関係を保つよう、定期的に調整します。またCPIを用いて関節窩での下顎頭の位置の変化を調べます。このような一連の治療をスプリント療法と呼び、私は非常に重視しています。
以上、私が所属しているロススタディクラブのホームページより引用